この記事はこんな方におすすめ
- 自衛隊の退職を検討されている方
- 元自衛官の退職理由を知りたい方
- 自衛隊と民間企業の違いを知りたい方
私はこれまで海上自衛隊を10年以上勤務して、民間企業に転職を果たしました。
そこで、当時自衛隊を退職したときを思い返して、改めて退職した理由をまとめてみました。
私のこの経験が、これから自衛隊の退職を検討される方の参考になると幸いです。
Contents
ポジティブとネガティブな理由がそれぞれ2つ
私には退職理由には大きく分けてポジティブな面とネガティブの面の理由が2つずつありました。
ポジティブな理由
まずポジティブな理由を2つご紹介します。
プロフェッショナルな仕事として技量を伸ばしたい
まず、『一人のパイロットとして大きく成長したい』ということが一つ目の理由です。
自衛隊のパイロット職は基本的に陸海空全て「地上職」も兼務しなくてはなりません。
また、パイロットとして一定の期間勤務すると地上配置に異動となり、航空関係とは異なる業務にあたります。
これは幹部自衛官としてパイロットの仕事のみならず、自衛隊の業務を幅広く理解するためにこのような人事異動があります。
基本的に2年ごとに飛行配置、地上配置交互に勤務する流れなのですが、私はこのシステムに違和感を感じていました。
『パイロット』という仕事は非常に大きな責任感が必要不可欠な仕事です。
自衛隊パイロットの任務は、輸送、捜索救難に加えてデータ収集、警戒監視など様々な業務があります。
それだけでも多岐に渡る難しい任務だということは一目瞭然なのに、それに加えて地上業務も取り扱わなければなりません。
スケジュール作成、宿泊や食事の手配、訓練計画、安全管理、資材管理など幅広い業務をパイロット職と兼務で行うのは疑問に感じていました。
『これは古くからの自衛隊の文化』と言ってしまえば何も言えませんし、実際に私もこれを長年実践してきて学ぶことは多かったのですが、やはり一人のパイロットとしてプロ意識を持って成長したいという気持ちが強くなり、転職を意識するようになりました。
一度しかない人生、悔いのないように挑戦したい
もう一つの理由は『後悔のない人生を送りたい』ということです。
私は『自衛隊パイロット』の仕事に誇りを持っていました。
しかしながら、最初にお話した転職理由、そして後半にお話しする”ネガティブな転職理由”を皮切りにこの組織に違和感と疑問を抱いてから「本当にこの組織に人生を捧げていいのだろうか」「自分はプロのパイロットになりたいからこの仕事を選んだのではないのか」と自問自答する日々が続きました。
転職はその後の人生にリスクを伴う場合があります。転職に失敗する可能性も十分あります。
でも日々の生活を過ごしていくうちに、転職して後悔するよりも、モヤモヤしながらこんな生活を定年まで過ごす方が絶対に後悔すると思いました。
今考えてみれば、「転職して絶対に後悔してたまるか!」という気概を持ち続けていたからこそ退職後の転職活動も頑張れたのだと思います。
エアラインパイロットに転身した今、転職して後悔したことは一度もありません。
挑戦して本当に良かったと思います。
ネガティブな理由
これまでポジティブな理由をご紹介しましたが、ネガティブな理由もあります。
その名の通り”後ろ向きな理由”ですが、このような理由も転職を決定づけるものになりました。
中途半端な仕事をしたくないから
これは「ポジティブな理由」で最初に紹介したものに関連していますが、『プロとしてパイロットという仕事を極めたい』という理由の表裏一体として『中途半端に仕事をしたくない』という気持ちがありました。
自衛隊パイロットの掌握する業務はフライト意外に実に多くの業務があります。
私もフライトしてきて複数の役職を兼務してきました。
私が一時期兼務していた業務
・パイロット
・甲板士官(環境整備等の業務)
・スケジュール作成、宿泊・食事手配
・安全幹部(安全管理)
・訓練計画作成
最大5つの業務を兼務していました。
ですので、フライト中は頭の中で「17:00までに着陸しないと、上司から書類の決裁の印鑑が貰えないから急がないと...」とか、「来週の訓練計画を明日までに作らないと、他部署との調整もこの日までにしないとな...」とか色々考えないといけないときがあります。
また、土日も出勤しないといけないことが多々ありました。
パイロットの仕事とは別の業務を日を跨ぐまで、泊まり込みでやったこともあります。
ふとそんな生活を振り返ると、
これって自分の理想としていた人生か?
と思うようになりました。
また、こんな生活をしていたら、いつかフライトで何かやらかしてしまういう怖さもありました。
上司の個人的な理由で人生を台無しにされたくないから
訓練生を卒業して、晴れてパイロットとして部隊配属されて一定の期間を過ぎると、地上配置に異動になります。
私も同じような時期を過ごしましたが、その当時、本来であればある部隊に異動する予定だったのですが、上司の個人的な理由で180°異なる部隊に移動になってしまいました。
この理由についてはあまりにも酷いものなので、ここではお話しできませんが、この人事異動は私の自衛隊のパイロット人生を台無しにさせるものでした。
このように、個人の都合で一方的に人の人事を粗末にする組織に貢献することは絶対にしたくないというのも大きな理由になりました。
今考えてみてもその理由は間違っていない
この機会にエアラインパイロットに転身して、その当時自衛隊を退職した理由をレビューしてみましたが、今考えてみてもその理由は明瞭で嘘偽りないものでした。
このような明確な理由は、長い退職手続きや転職時に大きな精神力を生み出すきっかけになります。
逆に転職の理由がはっきりしていないと、退職が長引いたり転職に苦労したりする可能性が高いです。

まずは自分の置かれた環境を見つめて、本当にこの組織に身を埋めていいのか考えてみてはいかがでしょうか。
そして、転職したい理由を書き出してみて整理すると転職を意識したより強いマインドを創り上げることができるでしょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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