転職活動

エアラインパイロットになるために自衛隊(パイロットコース)に入るのはアリ?


これまでブログやSNSでのお問い合わせ欄に寄せられた質問の中に、このようなものがありました。

エアラインパイロットになることが夢なんですが、自衛隊でライセンスを取得して転職することも可能ですか?



今回はこの疑問に関して、この転職ルートを経験した私が自分なりの考え方を含めてお答えします。

 

こんな方におすすめ

  • 自衛隊パイロットからエアラインパイロットを目指そうと考えている学生の方
  • 自衛隊から転職を考えている現職自衛官(パイロット)の方
  • パイロットという仕事に関心のある方

 

 

この質問に関する私の答えは『NO!』

 

この転職ルートをおすすめしないのには3つの理由が...

この質問に対して、この転職ルートをおすすめできない理由は下記の3点です。

おすすめできない3つの理由

1.そもそも目標の終着点が違う

2.簡単に退職できない

3.すぐに転職活動できない

では一つずつ見ていきましょう。


1.目標の終着点が違う


まず第一に「目標の終着点、ゴールが違う」ということ。


航空大学校や自社養成、民間のフライトスクールはエアラインパイロットを目指すためのコースです。

それに対して航空学生、防衛大学校などは自衛隊のパイロットになるためのコースです。

そのため、自衛隊に入隊すると初等教育では飛行教育以前に自衛官としての素養を培うための教育から始まります。

 

日常生活ではアイロンがけ(自衛隊では”プレス”といいます。)、靴磨き、ベッドメイクや掃除諸々の身だしなみや躾事項に関すること。

座学教育では、戦史や、国防史、基本教練(敬礼や回れ右などの動きや姿勢の教育)、小銃射撃など。

航空力学などの座学もありますが、上記のような自衛官の素養を培う教育がメインになります。


鍛錬行事では山登りの競技、遠泳、マラソン、短艇(海上自衛隊だけ)競技など。


このような環境で数年間過ごすため、

 

エアラインパイロットになりたいから航空学生に入ってライセンスを取るぞ!

っていう方には厳しい環境になります。


しかもライセンスとるのに5年近くかかります。

ちなみにライセンスは事業用操縦士しか取得できません。

 

実際に同期や近い先輩後輩にもエアライン志望の方は数名いましたが、ライセンスを取得する以前に自衛隊を退職している方もいました。

やはり志のベクトルが違うと難しいのかなと感じます。

 

余談をするとFAIL率もそこそこ高いので、訓練中もそれなりの自衛隊パイロットになる!という強い自覚と気持ちを持たないと道を閉ざされることになります。

また海自なら固定翼(飛行機)、回転翼(ヘリコプター)、戦術航空士(TACCO)に振り分けられるのでかなり倍率が高くなりますし、防衛大学校も教育の後半で職種が振り分けられるのですがパイロットは倍率が高いと聞いたことがあります。

このような観点から、当初の段階から自衛隊パイロットからエアラインパイロットを志す方にはリスクが高いと言えます。


KEN
若い時期の貴重な時間を無駄にしたくないですしね。



2.簡単に退職できない

KEN
今月末に退職します...

 

おつかれさん!!

 

というわけにはいきません。笑

 

これは以前僕のブログでも紹介したので見ていただけると嬉しいです。

記事はこちら。

 

ちなみに僕は退職の意思を伝えて半年で退職できたのですが、これは比較的早い方で、平均8〜10ヶ月かかります。

長いと1年以上かかることもあります。

晴れて自衛隊パイロットになっても、すぐには退職できないということもおすすめできない理由の一つですね。


3.すぐに転職活動できない

この制度は昔から存在するのですが、紳士協定というものがあって自衛隊とエアラインの取り決まりで自衛隊退職後2年間はエアラインへの就職活動や訓練ができない制度があります。

なので、大抵退職後のこの期間は必要なその他のライセンス(計器飛行証明、航空無線通信士など)の取得を目指したり、民間社会人として航空関係とは異なる仕事をします。

 

僕自身も2年間は地元でアルバイトをしていました。

 

KEN
30歳を超えて無職はキツかったです。


そして自衛隊出身のパイロットはアプライできる会社が限られているんですよね。

僕が就職活動していた時は5社くらいしか受けられませんでした。

当然ながら王手は受けられません。

割愛制度(自主退職ではなく、自衛隊から正式にエアラインに転職する方法)でエアラインに転職することもありますが、この割愛もとても狭き門です。

またこの割愛制度もこれから続くのか、自主退職して2年の縛りが継続するのか、将来どうなるかわかりません。

 

これが3年になる噂、退職したらこれまでかかった訓練費用を返還しないといけない制度ができるかもしれないそうです。

詳細のニュースはこちら。

 

 

このような自衛隊パイロットが外部に流れていくことを防ぐようなシステムが構築されていく環境下で、エアラインを目指すのは難しいのかなと感じます。

 

それでもこの道を進んだ元自衛官は再就職を果たす

ただ一方で自衛隊出身のパイロットは退職しても大半は再就職を果たして、その一部は航空会社に入社してパイロットとして乗務しています。

それは皮肉なことに自衛隊の厳しい任務に耐え抜くために受けた訓練や教育で培った体力や精神力が、厳しい就職活動のほうに生かされたのだと思います。


入隊後の鍛錬行事のマラソンや水泳はかなりキツイです。

特に泳げない人にとっては地獄の日々でしょう。


部屋の掃除が不完全で埃が落ちていたり、アイロンがけや靴磨きだってしっかり手入れしていないと、反省として腕立て伏せです。

 

自分がしっかり出来ていても、同期ができていなければ連帯責任で腕立て伏せです。

 

そんな過酷な生活で涵養された強靭な精神力や忍耐力、辛いこともプラスに転じさせるような脅威のポジティブシンキングがエアライン転職を果たして将来のパイロットの仕事に生かすことができるのだと考えます。

 

KEN
人生の中で無駄なことは無いですね!

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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■エアラインパイロット
【経歴】大学中退▶︎自衛隊▶︎国内航空会社
【趣味】筋トレ(2022BBJ準グランプリ,3位)
【メディア】自衛隊情報誌MAMOR掲載
■唯一無二の空飛ぶマッチョのライフスタイル
■パイロットのメンタル&フィジカルのベストコンディション作りの発信

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