プロフィールでもご紹介したように、私はエアラインパイロットの仕事をしていますが、以前は自衛隊でパイロットをしていました。
そこでよく聞かれる質問は、
自衛隊のパイロットと民間のパイロットの違いって何ですか?
というわけで、自衛隊パイロットのエアラインパイロットの違いについて答えられる範囲で説明していきます。
Contents
自衛隊とエアライン、以下の5点について比較
この2者の違いについては様々な観点から比較できるのですが、今回は以下の5点について絞って紹介します。
勤務体系
まず勤務体系。
私は海上自衛隊で勤務していましたが、部隊では基本的に週休2日制で土日に出勤した際は平日に代休をとっていました。
代休とはいっても、残業で出勤せざるを得ないことはよくありました。
え、パイロットってフライトして終わりじゃないの?
そうなんです。
自衛隊のパイロットってフライトして勤務終了ではないんです。
自衛隊は自分たちのスケジュールや訓練計画もパイロットが作成しており、各部署の役職も兼務しています。
そのため、地上の作業が終わらない時は休日に出勤するということはザラにあります。
これに対してエアラインは会社にもよりますが、4勤2休の勤務体系が基本になります。
国内線であれば1日2〜4レグ、時間にすると勤務時間は4〜8時間となります。
スケジュールの組み方
スケジュール作成について。
スケジュールは『運用班』という配置が担当します。
自衛隊は年間を通じて大きなイベントや合同訓練があるのですが、それを月間ごとに概略の実施概要を計画して、さらに週間スケジュールで細部概要を計画していくことになります。
そして、最後に決まる飛行時間やフライトに必要なクルーの計画を1日ごとのスケジュールに組み込んでいきます。
このように人員のアサインは直前でないと決まらない流れになっているので、自分のスケジュールは週間予定表、つまり来週までしかわかりません。
それまで自分がどのフライトをするのか、どのような訓練をするのか分からないんですよね。
これに対してエアラインは、とてもシンプルで来月のスケジュールは前月末の特定の日に1ヶ月分ドンっと出ます。
ですので、1ヶ月という長いスパンのスケジュールをじっくり見て、プライベートのスケジュールを入念に計画できることが大きなメリットだと思います。
給料
この点は気になるところだと思います。
まず自衛隊について。
こちらは飛行配置と地上配置で大きく異なります。
なんだよ、『地上配置』って!?自衛隊パイロットってずっと飛んでいるんじゃないの?
自衛隊のパイロットは定年までずっと飛べるわけではありません。
定期的に地上配置に下されます。
そうなると、当然航空手当は出ませんので給料は大幅に下がります。
エアラインパイロットは基本的に地上配置になってフライトをしない期間はありません。
また手当の面ですが、自衛隊は階級に準ずる基本給に航空手当が加算されます。
エアラインパイロットは最低保証時間(パイロットの毎月の乗務時間を一定時間の給与として保証してくれるもの)に加えて飛行した分だけ加算される乗務手当があります。
ですので、ざっくり言うと自衛隊パイロットは飛行配置であれば一切飛行しなくても月100時間以上飛んでも同額。エアラインパイロットは飛んだ分だけ収入は上がっていく点が大きな違いです。
訓練や審査について
自衛隊では年間を通じて定められた訓練を実施しなければなりません。
また1年に一回、個人査察と呼ばれる試験があります。
これに対して、エアラインはざっくり定期技能審査、路線審査、LOFT訓練、緊急脱出訓練などがあります。
また審査に関してもシミュレーターを用いた各種トラブルに対処するもの、口述審査など多岐にわたる高度なものばかりです。
私の感覚ですが、訓練や審査に関してはエアラインの方が遥かに厳しいものに感じます。
パイロットになるために468
審査や試験などプレッシャーを感じる時、コックピットに座っていてふと気付くと、肩が丸まって前のめりになっている。これでは呼吸も浅くなるし視野も狭くなる。
背筋を伸ばしてシートに背中を付け、ゆっくり息を吐く。ハッタリでも堂々と。いつも通りに。機長は自分だ。
— Star Gazer (@daudau787) October 7, 2020
勤務地について
勤務地に関しては自衛隊は転勤が付きものなので、基地がある場所であればどこでも異動の可能があります。
特に幹部自衛官は頻繁に転勤があります。
エアラインは会社によってベースがあり、複数のベースがある場合は会社都合もしくは個人の希望によって所属ベースで勤務することになります。
自衛隊に比べて勤務地はかなり少なくなるので、引越しをあまりしたくないという方には魅力的に感じるでしょう。
【転出者紹介行事】
定期異動の季節になりました。
転出者は全国に散らばり、北は北海道、南は九州とそれぞれの地で新たな任務が待っています。
座間駐屯地での勤務、大変お疲れさまでした。
自衛官らしく敬礼で見送ります。(`・ω・´)ゞ#朝礼 #転勤 #敬礼 #自衛隊 pic.twitter.com/Gb84lLw19y— 陸上自衛隊座間駐屯地 (@JGSDF_EA_Zama) March 12, 2021
まとめ
自衛隊とエアラインパイロットの違いについて5点に絞ってご紹介しました。
この5点を踏まえてパイロットとしてどちらが充実した人生を送れるのか?
これは人によって違うでしょう。
人によって仕事のやりがいや価値観は様々です。
それぞれの仕事の醍醐味は、
自衛隊パイロットは『国防の最前線で活躍できること』
エアラインパイロットは『自分の努力次第で一人のパイロットして大きく成長することができること』
でしょう。
他にも、
20代パイロット
給料が高いところがいい
50代パイロット
給料よりも身体に優しい勤務体系のところで働きたい
30代パイロット
不景気だし、新婚だから安定したところで働きたい
など、人によって考え方が違うので自分のこれからの人生設計にあわせて仕事の特徴を比較することは大切です。
決して後悔しないためにも、転職を意識することも必要になってきます。
この記事が参考になれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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